横浜市役所の移転に伴い、大きな変貌を遂げつつある街が、横浜駅から根岸線で2駅にある「関内(かんない)」です。
そのJR関内駅の南口改札から出てすぐの「横浜スタジアム(通称:ハマスタ)」は、2016年にプロ野球「横浜DeNAベイスターズ」が運営会社を買収し、周辺のまちづくりを進める「横浜スポーツタウン構想」の中核施設に位置づけられています。
今回は「横浜DeNAベイスターズ」が運営するコワーキング施設「CREATIVE SPORTS LAB」を体験利用しつつ、企画として開催された「ワーキングハマスタ」のレポートを交えて、生まれ変わりつつある横浜市の旧市街でのワーケーションの可能性について考えてみたいと思います。
シェアオフィス&コワーキングスペース「CREATIVE SPORTS LAB」
今回利用したのは、JRまたは横浜市営地下鉄の関内駅から徒歩5分ほどの場所にある、シェアオフィス&コワーキングスペース「CREATIVE SPORTS LAB」です。
ハマスタのある「横浜公園」を抜けると、海に向かって伸びる「日本大通り」が見えてきます。(横浜高速鉄道「みなとみらい線」の「日本大通り駅」からもアクセスできます)
日本大通りの横断歩道を渡ると、右側正面に、歴史を感じさせる赤レンガ造りの建物が見えてきます。
1928年に建てられた横浜市の指定有形文化財「旧関東財務局」をリノベーションした建物に、「THE BAYS(ザ・ベイス)」は入居しています。
左手の日本の大通りに面したエントランスから入り、すぐ横の階段を登った2階に、ドロップイン利用も可能なコワーキングスペース「CREATIVE SPORTS LAB」があります。
横浜DeNAベイスターズが「Sports✕Creative」をテーマに運営する会員制シェアオフィス&コワーキングスペースで、「次のスポーツ産業を共創してゆく拠点」を目指して2017年にオープンしました。
広いワークスペース内には、Snow Peak社のキャンプ用品を中心に構成されたデスクやチェアが並び、テント型の打ち合わせコーナーなど、遊び心も取り入れた、クリエイティブ魂をくすぐる仕掛けがいろいろ配置されています。
窓際のカウンター席からは、横浜公園の木々の緑を借景として、都会にいながらもゆったりとした気分で仕事に集中することができる環境です。
外部モニタも利用でき、野球グッズなどが配置されているスペース内は、野球好きだけでなく、スポーツがお好きな方にとっては、同じ趣味を持つ仲間と出会う機会にもなるかもしれません。
ドロップイン利用は「平日9時~18時」を「1日2,000円」にて利用可能で、ホームページから予約してください。
通話やビデオ会議はイヤホン利用で、周囲に配慮してお使いいただけますが、長時間の通話や打ち合わせなどには、空きがあれば別料金で予約できる3階の「ミーティングルーム」も利用できます。
WiFi速度も十分に高速で、静かな環境で快適にお仕事に集中することができそうです。
実はこちらの「CREATIVE SPORTS LAB」には、私が2019年に実施した、関内・馬車道エリアでの傘シェアリングサービス「アイカサ」の実証実験の際に、活動拠点の1つとして入居させて頂いていました。
他の入居者さんたちとのランチ交流会なども開催されていますので、まずはドロップインでお試し利用をしてみて、雰囲気が合いそうでしたら、ぜひ会員としての利用を検討されてみてはいかがでしょうか?
ランチやヨガも楽しめるスポーツタウンの拠点「The Bays」
「CREATIVE SPORTS LAB」が入る施設「The Bays」は、横浜DeNAベイスターズが掲げる横浜・関内周辺エリアスポーツを軸としたまちづくりコンセプト「横浜スポーツタウン構想」の中核施設です。
「The Bays」1階には、LifestyeShop「+B」と、オリジナルクラフトビールも飲めるダイニング「&9」が入居しています。
ちょうどお昼の時間になったので、「&9」でランチを頂くことにしました。
美味しそうなランチメニューは全部が気になりますが、本日のスペシャル「ローストポーク~シャリアピンソース~」を頂いてみることにしました。
カウンターでメニューとセットのドリンクを選び、お会計をして奥のテーブルエリアに進みます。
平日の11:30頃に入店しましたが、すでに席はほぼ埋まってきていて、人気の様子でした。
「The Bays」の地下1階には、ヨガスタジオ「ACTIVE STYLE CLUB」があり、スタジオプログラムのほか、横浜のまちや公園を活用したウォーキング、ランニング、パークヨガなどの様々なアウトドアフィットネスを楽しむことができます。
各プログラムは体験(ビジター利用)も予約可能ですので、関内での宿泊または日帰りでのワーケーション利用時に、気になるプログラムに参加してみるのも良さそうです。
「ワーキングハマスタ」企画に潜入取材!
実は今回の取材は、「CREATIVE SPORTS LAB」による特別企画「ワーキングハマスタ」への参加をきっかけとして実現しました。
これは、2022年4月の5日間限定で、横浜スタジアムのバックネット裏のスタンド上部にある個室観覧席を「ワーキングスペース」として開放するという企画です。
個人参加の場合、朝9:30~15:30まで1人3,300円で個室観覧席を他の利用者さんと相部屋で利用できます。
他にも、定員4名と8名の個室を貸し切り利用が可能なプランも用意されていました。
会場となる「NISSAN STAR SUITES(日産スタースイート)」は、2019年シーズンから供用開始となった個室観覧席です。横浜スタジアムで試合のある日に貸し切り予約で利用ができます。
快適な室内では、各部屋に1人ずつ横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ専属のサービスクルーが付き、料理の注文、配膳、取り分けをはじめとした様々なサービスを提供してくれるそうです。
利用料金は、広さに応じて「1室33万円~55万円+飲食代」と、かなりお高めです。
今回の「ワーキングハマスタ」企画では、事前に専用ページからチケットを購入し、当日は関内駅から見てスタジアムの裏手側(石川町駅側)に設置されている専用エントランスから入場しました。
入ってすぐの場所で受付したあと、検温と荷物チェックを受けて、高級ホテルのようなロビーを進み、エレベータで4階のラウンジエリアにあがります。
今回は個人利用で、多くのお部屋が並んでいる中から、事前に指定されたお部屋に入って利用開始です。
室内には、すでに男女お二人の利用者さんがお仕事をスタートしていました。
途中で少しお話しをお聞きしたところ、ペアでのご利用で、何とこの日は利用2回目のリピーターさんでした!
お二人とも在宅勤務でWebデザインや開発のお仕事をされているそうです。横浜DeNAベイスターズも野球も大好きで、普段は高額で利用できないこのお部屋を使えると聞いて、真っ先に申し込みをされたとのことでした。
お部屋の奥にある前面ガラス扉を出ると、そこはオープンなテラス席になっています。
少し高いカウンター席と、その奥に座り心地のいいソファ席があり、こんなところで美味しい料理やビールを飲みながら野球観戦ができたら最高だろうな・・・、と想像しつつ、しばし球場の雰囲気を味わっていました。
この日は少し肌寒い気温でしたが、やはり他のお部屋のテラスを見回しても、この素晴らしい「非日常空間」でのワークを楽しんでいる様子が見受けられました。
おっと、今日はお仕事だったと思い出し、持参したノートPCを、ハマスタで提供されている公衆WiFiに接続します。
下り速度は室内で76Mbps、テラス席では少し遅く40Mbps前後ですが、通常ワークはもちろん、Web会議でも問題なさそうなレベルですが、どうしても安定回線が必要な方は、モバイルルーターの持ち込みをオススメします。
室内には大型テレビもあり、HDMI接続すれば、PC画面を共有しながらの会議やプレゼンもできそうです。
オプションで「ホワイトボードの貸し出し」などもあれば、完璧です!
今回、「NISSAN STAR SUITES」でワークしてみて、この非日常の空間が、企業などでの「オフサイトミーティングに最適な場なのでは?」と感じました。
普段とは違うラグジュアリーな空間に、チームで何らかのテーマを持ち込んで、決まった時間の制約の中で集中的に議論し、その前後には、関内や中華街などでの飲食、また横浜スタジアムでの試合がある日であれば、そのままスタンド席に移動して、楽しく野球観戦へと、ワークとバケーションを至近距離で効率よく楽しめる「都市型ワーケーション」の場として、非常に大きな可能性を秘めていると思います。
ぜひ横浜DeNAベイスターズの皆さんには、今回の特別企画の実績をベースに、野球の試合の無い時間帯に、このような素晴らしい空間を常設サービスとしてワークスペース利用できるよう、ご検討頂けたらと思います。
「CREATIVE SPORTS LAB」の施設レビュー
特別企画「ワーキングハマスタ」は、開催日限定でしたので、ここでは常時利用できる「CREATIVE SPORTS LAB」をレビュー対象とします。
JR根岸線と横浜市営地下鉄ブルーライン「関内駅」と、みなとみらい線「日本大通り駅」からのアクセスはかなり良い立地です。
デスク・チェアは、キャンプ用品が中心なので、ビジネスチェアと比べると少し劣りますが、十分に長時間のワークが可能です。(ちなみにワーキングハマスタの室内にも、仕事に適したデスク・チェアが2セット完備)
WiFiは問題なく、同じ建物内に飲食や運動施設も充実していて、1日2,000円でドロップイン利用ができるコスパも高いです。
何よりも「横浜スタジアム」や「関内」「中華街」という圧倒的な飲食環境に隣接しており、バケーションとしての楽しみ方は、利用者それぞれの工夫次第で大きく広がる可能性を持っていると思います。
総合評価も4.5で、周辺施設も含めて強くオススメできるワーケーション環境です。
スポーツタウン横浜・関内が秘める「都市型ワーケーション」のポテンシャル
最近では、横浜スタジアムと同様に、東京ドームでもワークスペースとして開放利用が始まったようです。
このように、都市が持つさまざまな場が「アイドルタイムをワークスペースとして公開」されてゆくようになると、これまで自然豊かな観光地や温泉地が中心だったワーケーションの場所選びが、都会の中の非日常空間という新たな選択肢を手に入れ、ますます多様な働く場が提供されてゆく可能性があると感じました。
関内には、バスケットボールやプロレスの会場として人気のった「横浜文化体育館」の再整備事業が進んでおり、「横浜ユナイテッドアリーナ」2024年4月にリニューアルオープンする予定です。
横浜の旧市街である「関内」周辺エリアは、今後「スポーツタウン」としての個性を強め、それらの魅力的なバケーションコンテンツと、さまざまな新しいワークスペースの提供にとって、新たな「都市型ワーケーション」の可能性を見せてくれることに期待しつつ、今後も街の変化を取材してゆきたいと思います。