ワーケーションに対してよく耳にするのが「普通の会社員や主婦にはワーケーションなんて無理!」というお声。
つまり、皆さんそれぞれの本業(会社員としての仕事や家事など)があり、「バケーション先に仕事を持って行くことなんてできない」というご意見で、それはもちろんその通りだと思います。
今回のコロナ禍でもエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々は、不安に包まれた社会の活動を支えるために、毎日職場に出勤して頑張って働いてくださっています。本当に尊いことです。
ではなぜ私がそのような皆さんにもワーケーションを強くオススメしているかというと、それは自分の人生をコントロールできる人になっていただきたいからです。
具体的には、副業や複業としてバケーション先に新しい仕事を作ることで、ご自身の普段の支出を必要経費にする「副業ワーケーション」にチャレンジしてみてほしいというご提案です。
旅費交通費の必要経費化とは?
皆さんはきっと「自分の人生は、もちろん自分でコントロールしています!」と思われるはず。でも本当にそうでしょうか?
たぶん多くの皆さんが、いわゆる本業と呼ばれる雇用型の1つの働き方のみを「業(Work)」として、主に給与所得で暮らしていらっしゃるのではと推察します。
例えば会社員やパート/アルバイトはもちろん、ある意味では子育て中の専業主婦の皆さんなども、旦那さんなどの収入に依存した雇用型であるといえると思います。
一方で、フリーランスや個人事業主、会社経営者などの方々は独立起業して、主に事業所得を得て暮らしています。
その両者の間で一番大きく違うのが経費の自由度です。起業すると、仕事で収益を得るために必要な支出であれば、基本的にすべてが必要経費にできます。
(もちろん、何でも経費にはなりませんので、経営には簿記の知識と税務の基本の理解が不可欠です!)
だから多くのフリーランスや経営者が、ワーケーションを活用して現地に仕事を作り、そのための出張旅費(交通費や宿泊費)として所得から控除した残りから利益を出し、納税すればいいと理解しています。
(とはいえ、出張先でのプライベートな「バケーション」部分の支出、例えば延泊費用や私的な飲食代などは、すべて自費負担になりますので、公私混同はやめましょう!)
まずは雑所得になる小さな副業がオススメ!
そうは言っても「いきなり会社を辞めて独立起業なんて、リスクが高すぎて無理!」と思われますよね。
そこでオススメしたいのがまずは小さな副業からスタートして「ワーケーション先で雑所得を作る」という方法です。
こちらの図は、財務省のホームページからお借りした所得の種類の一覧です。
いろいろ難しいことが書かれているように思うかもしれませんが、自分の人生のハンドルを握るためには、このようなお金の基礎知識はしっかりと身につけていきましょう!
ここにある雑所得は「その他の所得」で、例えばインターネットオークションで売上から経費を引いたものや、仮想通貨(暗号資産)取引で出た利益などです。
私のオススメは、まずはこの雑所得が「少し赤字」になるような、計画的な副業からスタートしてみる方法で、ワーケーションするための仕事を作っていただきたいのです。
まず、年間で多くても数十万円くらいの小さな売上が立つ副業を立ち上げます。
その業務の一環として、本業が休みの日を活用して、自分が行きたい場所や関わりたい地域に「出張」として行って滞在し、その活動にかかった旅費交通費を経費にします。
そして売上から経費を引いた雑所得を「少し赤字」にして、確定申告が不要な範囲で始めてみるというやり方です。
「副業ワーケーション」の具体例
「副業ワーケーション」の例として以下のようなものが挙げられます(他にも方法はいくらでもあります!)
- 自分が頻繁に訪問する地域でオフィスを1部屋借りてレンタル会議室として貸し出す
- 趣味などの得意な分野の話を、地方での小さなグループで話して、講演料を受け取る
- エステの技術を生かして、リゾート地のレンタルサロンで、完全予約制のエステ施術を始める
- その地域ならではの「特産品」を仕入れて、フリマサイトなどで出品・販売する
このように現地に行く必要性がある副業なら、そのための交通費や宿泊代はすべて旅費交通費になります。
10万円の売上に対して10万円の必要経費がかかる副業なら、利益は0で、確定申告は不要です。
このような小さなビジネスを経営することで、旅行が仕事の一部になるわけです。
私のご提案する「副業ワーケーション」を実践するには、簿記の基礎知識と自身での帳簿付けが不可欠です。
しかし今は、freeeやMoneyForwardなどの無料(または安価)で使えるクラウド会計システムがいくつもあり、ちょっと勉強すれば誰でも簡単に帳簿付けができるようになります。
このようにして、まずは1~2年間、小さな副業で雑所得を得る感覚を得たら、次の段階として少し大きな事業所得や不動産所得などを得られるように方向転換していきます。
確定申告の青色申告ができるくらいの規模の事業を持つことで、それまでの本業と副業をほぼ同格に扱う「複業」へとステップアップしてゆくのが良いでしょう。
「副業ワーケーション」から「複業」へのステップアップ
年間数十万円くらいの小さな売り上げが立つ副業を立ち上げる
業務の一環として自分が行きたい場所や関わりたい地域に「出張」し、旅費交通費を経費にする
雑所得を「少し赤字」にして、確定申告が不要な範囲で「副業ワーケーション」を始める
少し大きな事業所得や不動産所得などを得られるように方向転換(青色申告)
本業と副業をほぼ同格に扱う「複業」へ
自分の人生をコントロールする生き方をはじめよう!
ここまで来れば、あなたはもう立派な経営者の仲間入りです。
自身の事業の売上を伸ばし、適正な範囲で経費を支出することで所得が得られ、生活も豊かになるでしょう。
その活動の中では、ワーケーションとして事業に必要な調査や仕入れ、打ち合わせなどを出張として経費に入れることができます。
事業の合間にバケーション要素を盛り込むことで、自分の人生を能動的にコントロールできるようになります。
そんな人生って、素敵だと思いませんか?
私は、自身が会社員だった頃から、このような生き方を続けて、もうすぐ20年になります。
当時と比べても副業や複業をスタートするリスクは大幅に下がり、情報もたくさんあふれています。
自分の人生をコントロールできるかどうかはあなた次第です!
(2022年6月3日追記)
当初、コラムの記載の中に「雑所得が20万円以下であれば、確定申告は不要」との誤解を招く表現が含まれておりました。
20万円以下の雑所得については、所得税に関しては確定申告は不要である一方、住民税については、確定申告が必要ですので、該当する4箇所の記載を修正いたしました。